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国立国際医療研究センター病院 中央検査部門内

推奨測定法と推奨基準範囲の統一に関するQ&A

Q1.統一化の必要性について
 
 国立医療施設における臨床検査値が同じ基準で判断できるようになれば、政策医療ネットワークや地域連携内において、そのデータを共有化できることになり臨床的判断や比較研究をするうえで大変に効率がよくなり、臨床検査の信頼性向上に繋がるものです。また、近年の情報開示、電子カルテ化セカンドオピニオンなどの推進に対応するためにも、施設間格差を解消するための標準化・統一化は重要課題と考えられます。将来的には国内の全医療施設で理想的なコンセンサスが得られ、全国統一されることを究極の目標として関連団体等の事業が展開されていますが、国臨協T.W2003統一化事業もそのための第一歩です。

Q2.「データの継続性が失われる」ということに対して

 新データ(新測定法)と旧データ(旧測定法)の相関性、互換性を検討しておけば旧データへの変換が可能です。切り替え当初はデータの違いに多少の戸惑いを感じる項目があるかもしれませんが、次第に新データが日常化するのが常です。これまでも測定法の進歩、変化に対して幾多の項目で変更がなされてきたことです。
 なお、旧データとの継続性を維持するために推奨測定法の測定値に係数を乗じたデータを報告しているケースが考えられます。この場合には推奨基準範囲は適応できませんのでご注意下さい。外部精度管理の評価やデータの標準化・統一化の際にしばしば混乱の元となると考えられます。


Q3.基準範囲の変更には県技師会、医師会との絡みがある。


 国臨協の推奨測定法・基準範囲の導入は、あくまでも個々の施設の判断によるもので、強制するものではありません。地域との連携は大切です。県技師会、医師会で推奨する基準範囲は、当然根拠が明らかな数値と考えられます。答申書にみられるごとく、国立医療施設はほとんど同じ測定方法を採用していながら、幅の広い基準範囲が採用されており、しかもその設定根拠が不明な施設が未だ多数を占める現状です。特にこのような施設には根拠の明らかな基準範囲への変更を推奨しているものです。根拠を求められた時に自信を持って提示できる必要があると考えます。


Q4.地域差を考慮しないで全国同一の基準範囲でよいのか。
また、推奨基準範囲は信頼できる数値なのか。


 
確かに特定の地域で特定の項目に地域差を認めるものがあるかもしれませんが、これをもっと突き詰めれば個人の基準範囲がよいということになってしまいます。少し前までは、自施設で基準範囲を設定することが一般的でしたが、今は県単位の事業として行われるようになってきています。自施設のみでの基準範囲設定は厳格な対象選択と費用・労力の面で不可能ではないでしょうか。推奨したNCCLS指針による福岡県五病院会の基準範囲は、厳格な基準で選択された健常人ボランティアを対象として求められたもので、臨床化学会等からも高い評価を得ているものです。これまで、いくつかの県単位事業で基準範囲が設定されていますが、ほとんど同じような数値の基準範囲が得られており、測定法が同じであれば暫定的な基準範囲として引用できると考えられます。国臨協独自の基準範囲の設定については今後の課題としていますが、今年度の国臨協事業(T.W.2004)では、推奨した基準範囲検証のためのサーベイを計画しています。また、基準範囲は少なくとも数年間は変更しないことにしています。

Q5. NCCLS指針に準拠した福岡五病院会による基準範囲とは
  
 1995年、福岡県五病院会(産業医科大学病院、九州大学病院、福岡大学病院、久留米大学病院、飯塚病院で組織)が中心となり、福岡県内各地からの健康人ボランティアを集め、アメリカ臨床検査標準委員会(NCCLSNational Committee for Clinical Laboratory Standards)指針に準拠して基準範囲を設定しました。NCCLS指針とは、臨床検査における基準範囲の定義ならびにその設定法と利用法についての指針で、従来の基準値(正常値)は定義が曖昧で、定まった方法で設定されていないことから、体系的プロセスによって信頼性と有用性の最低条件を満たすような設定方法を提案しています。福岡県五病院会では、健康人ボランティアの個体を確実に特定するために、問診票への記入と面接による確認を行ない、生活習慣、既往歴、ビタミン剤服用などを明確にするとともに、治療薬服用者、妊娠、CBC異常、尿定性検査異常の除外、タバコ120本以上吸う人、肥満を表すBMI指数25以上の人、飲酒・日本酒換算12合以上の人を除外しています。さらに項目によっては、飲酒する人(γ-GT)、食後9時間以内の人(TG)、食後3時間以内の人(GLU)、激しい運動する人(CK)も除外した標本を選別しています。厳密な除外基準を適用することで健康人ボランティア(基準個体1,078)からの標本数は691(男性359、女性332)となりました。検体の採血は早朝空腹時を条件とし、各病院での測定値の精密性と正確性、互換性を確保した後に測定されたデータを用いて基準範囲を算出しています。こうして求められた基準範囲は、1996年(基準個体2,945)と1997年(基準個体3,375)にも対象を増やして検証されましたが、不変であることが確認されています。福岡県五病院会及び福岡県医師会が中心となり推進している福岡県臨床検査標準化事業はわが国の先駆的事業として高い評価を得ています。そしてこの基準範囲は、その後の他県の標準化事業においても、暫定基準範囲として引用できるものであることが知られています。

Q6.基準範囲は絶対的なものではないので、多少のずれは問題ないのではないか。また、区切りのよい数値を採用してもよいのではないか。

 現実問題としては、医師が臨床判断をするうえで基準範囲の多少のずれは問題ないと考えられますまた区切りのよい数値は覚え易いことが利点でしょうが、厳密な統計処理によって算出された数値を勝手に改変したことになり好ましくはないと考えます。根拠を求められた時、「これは区切りのよい数値に変更した」という非科学的なこととなってしまいますし、統一性を欠くことになります。


Q7.変更に関して人的余力がない
 本事業の推進者として、国臨協本部役員、国臨協各支部長、地方厚生局専門官(担当官)及び技師長協議会等が推進者となっておりますので、支部活動を通じて統一化への誘導をお願いいたします。諸種の状況により人的余力のない施設へは、場合によっては当該施設に出向き、臨床側への説明や具体的変更作業の補助・支援等を行なうことも推進者としての役割と考えています。

Q8.具体的な変更基準について
@ 検査科の全体会議等において統一化の必要性と他施設の状況を話し合う。
A 測定法の変更を伴う項目は、新旧測定法のデータ比較を実施しておく。
B 院長、副院長ほか内科系・外科系の主な医長、医師に個別にあたり、統一化の主旨説明と変
  更の概要を提案し、変更の可否について意見を伺い、感触を得ておく。
C 臨床検査委員会およびこれに準ずる会議等で、統一化の主旨説明と変更提案する。
D 医長会または医局会において他診療科の理解を得る。特段の問題がなければ、管理診療会
  において変更時期等について最終承認を得る。

E 報告書変更、新規試薬購入手続き等の準備をし、各関連部署に変更案内を配布する。

                                        以 上




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